東欧の内陸国、ベラルーシは過去にソ連の支配下にありましたが、
1990年のソ連崩壊後にもロシアとの密接な関係が続いており、現在でもEUからは孤立した存在となっており、
外国人の入国にも制限があったため、あまりベラルーシの情報が知られることがありません。
日本人には遠い遠い国であるベラルーシ。
ですが、日本の隣国である中国とベラルーシは非常に強い友好関係を持っています。
この記事では、観光客の目線でみた中国の東欧進出の様子をお伝えしたいと思います。
ベラルーシの観光事業について
2017年になって、ベラルーシ政府は5日間のビザフリー滞在の許可を発表し、観光事業に力を入れる姿勢を見せはじめ、2018年には滞在可能日数は30日に拡大されるまでになりました。
ヨーロッパ最後の独裁国家であり、歴史的建造物やベラルーシ人のホスピタリティなど、魅力的な観光資源を求め多くの外国人旅行者がベラルーシを訪れ始めています。
私もベラルーシへ渡航した者の一人です。
ITハイテク国家でもありながらマルクス主義のラストリゾートでもある東欧の異端児、期待に胸を膨らませて到着したベラルーシの首都ミンスクに位置するミンスク国際空港、そこでは多くの中国語標識を目にしました。
何故、ヨーロッパの小国の空港に中国語標識があるのか。
理由は、中国政府がミンスク国際空港の改修に貢献したことにあります。
2017年、中国政府はミンスク空港の全面改修に6億ドルの援助を表明しました。
それだけではなく、中国はベラルーシに対して数々の援助を行っています。
中国ーベラルーシ工業団地の建築、ベラルーシ鉄道への投資、中国からヨーロッパへ繋がる交通・インフラ整備プロジェクトへの参画の推薦。
中国とベラルーシは強い協力関係をもっています。
独裁国家ベラルースで見る中国語
ベラルーシのアイコンともされるソビエトスタイルのケンタッキーフライドチキン。
ソビエトプロパガンダはミンスクの街のいたるところで見ることができます。
可愛らしいポーランド建築が並ぶ街並み。
ここで見かけるのは中国人旅行者と中国語の標識です。
中国で普及しているクレジットカードであるUnion Payを使用できるATMもあり、中国人旅行者への配慮が行き届いていることがわかります。
私はミンスクのホステルに滞在しましたが、小さなホステルに6名の中国人・香港人が滞在してり、数日前に行われた中国人へのビザ緩和に合わせて訪れたということで、香港人にも同じ条件が適用されているそうでした。
たまたま同じバスに乗り合わせた香港人の青年と観光をしました。
彼はヨーロッパ周遊中にビザ緩和のニュースを聞き、急遽ベラルーシへの渡航を決断したようです。
東欧の歴史に興味があり流暢なロシア語を話す彼によると、ロシア語を学びたい香港人は多くなってきているとのこと。
中国がベラルーシと友好関係を気づきたい意図とは?
中国がベラルーシに対して多額の援助支援を行っていますが、その意図は一体なんでしょうか。
現地では中国から視察に来たであろう数人のビジネスマンを見かけました。
ですが現実には、多くの中国企業はベラルーシ投資に勇み足ではなく、ベラルーシの古いスタイルのビジネス習慣や環境から様子見の姿勢をとっており、実際に中国のベラルーシへの海外直接投資は依然低い状態が続いています。
現状、ベラルーシが中国に提供できるものはなにもない状態であるとされていますが、中国としては、中国と欧州を結ぶ”新シルクロード”プロジェクトの参画をベラルーシに推薦していることからも判断できるとおり、今後の欧州進出に向けてのゲートウェイとして、地理的にも有利なベラルーシをキープしておきたいという意図があるようです。
現地で見た「中国の東欧進出」
私が以前、ベラルーシの隣国であるウクライナに訪れた際にも、多くの中国人ビジネスマンや観光客を目にしました。
ユニクロ、ダイソー、無印良品をパクったと揶揄される、中国企業の日本風雑貨店『ミニソウ』も、ウクライナの首都キエフに進出しています。
人通りの多い一等地に出店している路面店、老若男女、家族、カップルが買い物を楽しんでいる様子が見られます。
日本進出したものの、本店を閉店せざるを得ないほど日本のマーケットで苦戦しているミニソウですが、”パクリ”の事情を知らないウクライナ人にとっては非常に好評のようですね。
キエフのお土産通りで通りがかった画展の嗅覚も鋭く、中国マネーを呼び寄せるために『歓迎光臨(いらっしゃいませ)』のサイン、その横には中国共産党の指導者「毛沢東」と、中国を代表する芸術家である「斉白石」だと思われる肖像画が掲げられています。
最後に
中国によるヨーロッパ企業への買収や資本参加が加速化している中、観光客の目線でみた中国の東欧進出の様子をお伝えしました。
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